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思い込みだけで学習効果が上がる?
思い込みの力は恐ろしい。
みたいなことを、たまに耳にしますけど、思い込むだけで成績が上がるみたいな夢みたいな話、あるんでしょうか。本当に効果があるのでしょうか。
先に結論を書きますと、効果はあります。それも、根拠のない思い込みですら効果があることが分かっています。
アジア系アメリカ人を対象にした実験
73人のアジア系アメリカ人大学生を、2つのグループに分けました。
片方のグループには人種を意識するような質問をし、もう片方のグループには人種とはまったく関係ない質問をしました。
A・・・人種を意識するような質問
例:「家族は英語以外の言葉を話しますか」「家ではどんな言語で話しますか」
B・・・人種とは関係ない質問
例:「月に何枚CDを買いますか」「映画をどのぐらいの頻度で観ますか」
被験者は質問後に、数学のテストを受けます。
僕たちアジア系が本当に、数学が得意なのかは置いておいて、実験では、人種についての質問を受けたアジア系アメリカ人は質問を受けていない、アジア系アメリカ人よりも点数がよかったという結果が出ました。
思い込みで学習効果が上がる
この実験から分かるのは、前後の学習量は関係なく、単純に思い込みだけで成績が上がるというものでした。
人種の例で言うと、よくユダヤ人は数学に強いと言われていますが、教育方針プラス生まれながらに、
「私たちはユダヤ人だから、数字に強い」
という親からの刷り込みによる思い込みが発動していたと言えます。
ネガティブな思い込みでも発動する
思い込みの効果は、ネガティブな思い込みでも発動します。
ハーバード大学のアジア系アメリカ人の女子学生46名を対象に行われた実験で、こういうものがあります。
女子学生を3つのグループに分け、それぞれ質問をして、数学のテストを受けます。
A・・・人種を意識した質問グループ
B・・・なんの関係もない質問をしたグループ
C・・・性別を意識した質問をしたグループ
3つのグループのそれぞれの学力は同じでした。
テストの結果、一番成績がよかったグループが、Aの人種を意識したグループで、次いでBのなんの関係もない質問をしたグループでした。一番悪かったのは、Cの性別を意識したグループです。
ステレオタイプ
ステレオタイプとは、あるグループの特徴をひとまとめにしてしまう考え方です。
例えば日本人で馴染みがあるのは、血液型占いなどです。大雑把な人がいると相手の人格に関係なく「O型だから」と決め付けたり、いい加減な人がいると「B型だから」と決め付けるアレです。
アメリカでは、「女性は数学が苦手だ」というステレオタイプがあるようです。
この実験は、ハーバード大学の女子学生に行われたものです。世界的に見てもエリートと言っていい彼女たちにも、ステレオタイプの呪縛があるんですね。
ネガティブな思い込みはしない
思い込みの効果は、小学校に入る前から起きていることが様々な研究で分かっています。
つまり、現在勉強で伸び悩んでいる人は、暗に子供時代からの思い込みがあると言っていいでしょう。
書いていて、僕も「数学や算数が苦手」という思い込みがあることに気づきました。
小学校に上がったとき、算数の1足す1がなぜ11にならないのか理解できず(今では答えが2であることを知っています)、そこから苦手意識を作ってしまったような気がします。
「自分は○○ができない」
そう思っている人は、思い込みの罠に掛かっていると言っていいです。
お互いに、自分の中にそういうステレオタイプな思考がないか、考えてみましょう。