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古い脳とと新しい脳
人類が進化の課程で、脳も進化していきました。
感情をつかさどるのは、大脳辺縁系の扁桃体と呼ばれる部位です
人類の進化的に、大脳辺縁系は古い脳といえます。論理的思考や理性をつかさどるのは前頭前野ですが、前頭前野は大脳辺縁系よりも後にできました。
扁桃体は恐怖や嫌悪、哀しみなどの感情をつかさどります。
感情に支配されて生きる人は、論理をつかさどる新しい脳である前頭前野より、感情をつかさどる古い脳である扁桃体に支配されています。
つまり、より原始的な人ということになります。
狩猟採集民はその日暮らしで、未来は1日単位で数えています。古代では扁桃体優位の脳の作りで問題なかったのですが、現在に生きる我々は、すでに未来という概念を手に入れてしまっています。
心理的な距離が不安を増やす
前頭前野優位の、新しい脳で生きる人類がどうすれば、感情に支配されない人生を送れるか。その答えとして一つ挙げられるのが
「未来を今に近づける」
というものです。なぜ人間が不安になるのかというと、未来の自分と現在の自分の距離が遠いからです。
例えば数年後の自分を想像したとき、どんな想像ができるでしょう? 今と変わらないのかそれとも、まったく別人になっているのか。
もし今と変わらないと思った人は心理的距離が近く、逆であれば心理的距離が遠いといえます。心理学の用語で「自己連続性」と呼ばれる考え方です。
不安になる原因は自己連続性が遠いことにあります
分かりやすい例を上げましょう。
「10年後は大富豪になってフェラーリに乗って六本木ヒルズに住む」
という想像をしている人がいるとします。このことをどれだけリアルに想像できたとしても、心理的距離は遠いままです。
そこまでの道筋が、今の自分との間に連続したつながりがないと、心理的距離は狭まらないからです。
抽象度を高くする
不安や怒りの感情に支配されそうなとき、抽象度を高くするとその問題がクリアになって解決への糸口が見えます。この「抽象度が高い」という表現は、認知科学者である苫米地英人氏がよく使う表現です。
「抽象度が高い」状態とは、視野が広がっている状態です。
反対に「抽象度が低い」というのは、視野が狭い状態です。
「今、この瞬間」しか見ていないため、イライラをそのまま表現してしまいます。つまり脳の状態的には、イライラしているときは扁桃体優位になっているときです。
未来から考える
自己連続性が高いということは、抽象度が高いということです。
視野が広く、未来が連続して連なっている状態です。未来のことを考えるときに、その未来の自分のイメージがしっかり描けている人のことをいいます。
夢があったとして、その夢の実現のために、現在の自分から考えていくのはよくありません。
一つに絞ると抽象度が低くなる
例えば「日本一の俳優になる」という夢があるとします。普通はまず養成所に入って、オーディションを受けてと現在からの流れで順序立てて考えますが、未来から考えると、
「日本一になるためには、まず主演男優賞を取らないと」
「主演男優賞を取るには有名な監督と知り合いになるべきだな」
「有名な監督と知り合いになるには、一つ作品に出ないと」
「作品に出るにはオーディションに通らないと」
「オーディションに通るには・・・」
ここまで一般的と思われる流れを書いていますが、どの課程でもいいので他の方法も模索するのが大事です。
一つだけに絞るということは、抽象度が低いことになるからです。
例えばこのオーディションへ通るという課程で、youtubeに演劇の動画をあげて、有名な監督と知り合いになるという風になってもいいわけです。
まとめ
もちろん、そんな都合のいい話がコロコロ転がっているわけでもありません。
ですので、そこに行くまでも努力や発想の絞り出しが必要不可欠になります。そして、ゴールが強大すぎると、あまりの遠さにモチベーションの低下が起こります。
苫米地氏の考えは、
一つ絶対に叶いそうもないゴールを用意して、その課程で小さなゴールを作った方がいい
というものです。ゴールの数はいくつでもいいのですが、最終目標は例えば「世界から戦争をなくす」ぐらい飛んでいる方がいいです。
そこから、俳優としてどう世界平和を実現するか、といったスモールゴールを考えていきます。
不安対策は現在過去を見るのではなく、未来から考える
これを頭に留めておくと、前向きに脳が働きます。