目次
はじめに
デートの誘いや頼みごとを聞いてもらうとき、どうしていますか? 直接、真っ向から誘いますか? それとも多少回りくどい方法で誘いますか?
今回は、デートの誘いの成功率を高める心理テクニックをご紹介していきます。その名も、カチッサー効果です。
このテクニックを覚えて、交渉上手になりましょう。
カチッサー効果
人間は、理由があると頼みごとに正当性を感じて、よく考えずに了承してしまいまう性質を持っています。これを、
カチッサー効果
といいます。このカチッサーというのは、カセットテープの再生ボタンをカチッと押して、サーっと再生される様子から来ています。
つまり、一つのきっかけを元に、自動的に動き出してしまう心理効果のことです。
例えば、動物が自分のなわばりを守るとき、侵入者の全体像を見て警戒するのではなく、ある特定の特徴を見て反応することがあります。この刺激を信号刺激といい、体のわずかな部分の色で反応すると言われています。
理由を出されると断れない
この、カチッサー効果は、動物だけに起こる効果ではありません。心理学者のエレン・ランガーが行った実験で、人間にもカチッサー効果が見られることが証明されています。
図書館のコピー機の前にいる人に、こう聞きます。
「すいません・・・、5枚だけなのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか? 急いでいるので」
このお願いに応えた人は、94パーセントでした。次に聞き方を変えます。
「すいません・・・、5枚だけなのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
このお願いに応えた人は、60パーセントの人だけです。つまり、理由を掲示していないだけで、承諾率が34パーセントも下がったということになります。
理由は根拠がなくていい
初めのお願いは、急いでいるという、ちゃんとした理由がありました。こうお願いされれば、大抵の人は受け入れるに違いありません。しかし、カチッサー効果の範囲はこれに留まりません。
ランガーは、3つ目の頼み方を試します。
「すいません・・・、5枚だけなのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか? コピーをとらなければならないので」
このお願いに応えた人は、94パーセントの人でした。よく見ると、この頼み方はまったく理にかなっていないのですが、キッチリとした理由を出したときと結果は変わりませんでした。
ようするに、理由は根拠がなくてもいいわけです。この実験では、人間は理由よりも「ので」に反応したから承諾率が上がったと考えられています。
カチッサーのカチッの部分が、「ので」であったということです。「ので」に反応して、サーっとコピー機を譲ったということが分かります。
根拠がなくても理由を付ける
デートの誘いや頼みごとで成功しやすくするには、とにかく理由付けをすることが重要です。もちろん、根拠があった方が会話の整合性が取れるので、いいのは間違いないのです。
ただ、その理由に根拠がなくとも、「理由を言うこと」に効果が実証されているので、とにかく理由付けを行うということは、メリットは大きいでしょう。
例えば、デートに誘うとき、
「趣味が合うから、食事に行こう」
と誘うのもアリですし、
「一緒に食事に行きたいから、食事に行こう」
と誘うのもアリだと思います。
「から」「ので」「だから」など、理由付けで使う言葉を頭のなかに入れておいて、それこそカチッサーのように機械的に言えるようになれば、あらゆる頼みごとが聞き入れられやすくなります。