目次
ネガティブな感情とは?
ネガティブな感情と聞くと、どんな感情を想像しますか?
・怒り
・哀しみ
・不安
このような感情を連想されると思います。
もっと細かな意識の流れなどはありますが、今回はこの3つに焦点を当てていきたいと思います。
怒りは集中力を上げる
怒りは人間の本能的な部分から来ている感情です。
たとえば野生動物は敵の襲撃されたとき、戦うか逃げるかを選択します。その指令は怒りの感情からきています。
人には目的、目標があり、それが具体的であるほど行動が積極的になっています。この積極的な感情が怒りと結びつくと、問題解決の原動力となるわけです。
「自分は今怒っている」
そう認識するだけで、集中力が上がったという研究結果もあります。
哀しみは注意深さと分析力を上げる
哀しみと言うと、気が滅入ってなにも手につかない、失敗して後悔ばかり頭のなかでループしている状態が頭に浮かびます。いわゆる負の感情です。
しかし、社会心理学者ジョー・フォーガスは、
「哀しみが人を注意深くし、細部に関心を持たせ、焦点を合わせやすくする」
と指摘しています。フォーガスの実験では、憂鬱な気分になる短編映画を見せてから、様々な意志決定のテストをしました。
その結果、過去の出来事を分析するような課題の成績が高くなったのです。
とはいっても、哀しみのなかにいて行動力が落ちるのは仕方ないことです。その悲しんでいる時間に、自分の意志決定の見直しをするといいでしょう。
不安は慢心を防ぐ
不安とは、心配に思ったり恐怖を感じたりすることです。あるいは、漠然とした気味の悪い心理状態のことをいいます。
不安という感情も、実は成功するためには必要不可欠な項目です。
不安な感情というのは、一種の保険みたいなものともいえます。調子に乗っているときは、なにも考えずに猪突猛進で進みたくなるものですが、「待てよ」と不安な感情はそこでブレーキを掛けてくれるわけです。
スティーブ・ジョブズもネガティブだった
プレゼンテーションの達人といわれたアップル社のスティーブ・ジョブズ。彼も相当ネガティブな思考の持ち主だったようです。
彼はプレゼンテーションをする前、その不安感から会場の照明や機材、自分のプレゼンテーションの間の取り具合まで、納得いくまで何度も練習に練習を重ねていたといいます。
その結果、素晴らしい商品をより人々の心に残る商品にしたわけです。
喜びと楽しさは一長一短
「喜び」と「楽しさ」についても少し触れていきます。
喜びの感情は、人をクリエイティブにし意志決定能力を速くさせます。
反面、勢いが強いので非常に危険な状態ともいえます。冷静な判断がしにくくなります。押し売りやセールに弱くなるときと覚えておきましょう。
最後に
この文を書いていて思い出したのですが、作家の太宰治が書いた『葉』の中で、このような一文があります。
「安楽なくらしをしているときは、絶望の詩を作り、ひしがれたくらしをしているときは、生のよろこびを書きつづる。」
小説なので、100パーセント作者の心情を表しているわけではないでしょう。しかし、恐らくこういった考え方は、太宰なりのブレーキだったのではないかと思います。
楽しいときはいつまでも続かない。
だからその前に、自分だけの物語であらかじめ絶望を体験していたのではないか。ネガティブな感情はネガティブなままで。無理にポジティブにする必要はありません。