行列のできるラーメン店。
いつも並んでいるポップコーン屋さん。
列に並んで食べたものは、よほどのことがない限りおいしく感じてしまうものです。
それと同じで、人間は食べる食べ物が高ければ高いほど美味く感じてしまうようです。
目次
値段が違うだけで美味く感じてしまう
ドイツの心理学者プラスマンは2008年にある実験をしました。
中身がまったく同じワインを2つ用意します。一つのワインには10ドル、もう一つのワインには90ドルの値札を貼りました。
実験では、それぞれのワインを飲んだときに起きる脳の活動量を計測しました。すると、90ドルのワインを飲んだとき、脳の活動量が数倍になりました。
実験で計測した脳の部位は、報酬を得られると活動量が大きくなる部位でした。
実験の結果、同じ酒でも値札が高いだけで、脳が受け取る報酬が高くなったとうことが分かったわけです。
ようするに、高い酒と意識しただけで美味いと感じたということです。
なぜ、高いだけで美味く感じるのか
行列の出来る店で食べると美味く感じやすいのは、認知的不調和が働いているからです。認知的不調和とは、自分の行動と内面どちらか片方に気持ちを寄せてしまう心理効果です。
行列のできるお店で待って食べると、行列に並んでまで食べた店という実際の自分の行動があるので、そこまでおいしくなくてもおいしいと脳が勝手に思い込んでしまうわけです。
高いものがおいしく感じてしまうのも、この認知的不調和が働いている可能性があります。ようするに、
「高い金出してるんだから、当然美味しい」
という思考になり、短絡的に味の批評をしてしまうということです。また、このような思い込みのことをサンクコストバイアスともいいます。
奢られたものは美味しく感じる?
身銭を切って高い料理を注文したのと、人から高い料理を奢られたとき、どちらが美味しく感じるのでしょうか?
上記の理論で行くと、自分でお金を使ったときです。ただ、言うまでもありませんがそこで感じている美味しさというのは認知的不調和が作り出した偽物です。
人から奢られたときにしてもそうです。結局、奢られたときに値段を見ているので実際の料理の批評が正しくできないかもしれない。
結局どうすればいいのかというと、自分の舌を育てていくしかないんです。
・・・ところが、その育てた舌にしろ、誰かの受け売りで美味いと思い込んでいるだけのものだったりする可能性もあるわけで。
表裏で突き詰めると心理学って、意外に穴が多いんですよね。これが絶対に正解と言い切れないわけで、ひとまずは値段の高さや行列に惑わされないように、己のふんどしを締めて行くしかない。
自分で考えるってなんなのでしょう(笑)ここまで来ると哲学です。