詐欺やインチキ霊能者たちは、人の心理をよく熟知しています。
よくテレビで詐欺の被害者のインタビューを見るのですが、みんな口を揃えて、
「自分は大丈夫だと思っていた」
といいます。はたから見ると、「そんな馬鹿な」と思えるような詐欺でも引っかかってしまうのは、この「自分だけは大丈夫」だと思う心理が関係しています。
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地震で逃げ遅れる人たち
例えば、地震や洪水などの自然災害が起こったとき、避難勧告が出ているのにも関わらず避難せず取り残されてしまう人がいます。
災害心理学の専門家によると、住民達にはこのような心理が働いているそうです。
「前も大丈夫だったから、今回も大丈夫」
「下手に逃げるより家にいた方がいい」
この考え方の多くは根拠のないものです。前も大丈夫だから今回も大丈夫とは限りませんし、避難勧告が出ているのに家にいるというのも理にかなっていません。
正常性バイアスとは?
このように、自分にとって都合の悪い情報を無視してしまうバイアスのことを、
正常性バイアス
といいます。過去最高の雨量を記録していても、遠くの方から津波が押し寄せてくると言われても「自分だけは大丈夫」と思ってしまうわけです。
この場合の都合の悪いこととは、避難することへの手間や面倒のことです。
バイアスとは、すばやく判断するために発達してきた脳の仕組みです。心のバランスを取るという働きもあるので、緊急時にこそマイナスに働く場合があります。
詐欺師やインチキ霊能者に騙される理由
詐欺師やインチキ霊能者に騙されるのも、この正常性バイアスが働くからです。
詐欺の被害はニュースなどで多く報道されているにも関わらず、「自分は大丈夫」という正常性バイアスが働いて騙されてしまいます。
例えばオレオレ詐欺。詐欺師は被害者が、
「声が変じゃないか」
と言ったとき、
「電波が悪いからじゃないか」
などと返答します。彼らは、自分が突かれたら痛いところに対する返答マニュアルを作っているそうです。
おかしいと一瞬思うのですが、話を聞いてしまいます。そして、気づくと被害に遭っていた。自分だけは大丈夫と思った結果、こうなります。
自分を信用しすぎるから騙される
インチキ霊能者についても同じことがいえます。それっぽいことを言っているだけなのですが、「自分だけはインチキに騙されない」と思っているので、簡単に騙されます。
彼らはそういったスキを突く能力に長けています。
心理学では、人は自分の能力を実際よりも高く見積もる傾向にあることが分かっています。
ようするに、自分の判断能力の過信が正常性バイアスの正体であるといえます。
こういった、悪質な人から身を守るためには自分の判断そのものを疑わなければいけません。ちょっとした対策としては、選択するまでの時間を遅らせるというものがあります。
詐欺師やインチキ霊能者は、頭がパニック状態になったところにつけ込みます。もし現在信頼している霊能者がいても、御札や壺を買うときは即決で買うのではなく、一晩以上寝かせてから決断するようにするといいでしょう。