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ユングも研究したオカルト
心理学は科学、占いはオカルト、2つの分野は相容れないものと思われがちですが、実は分析心理学で有名なカール・グスタフ・ユングはUFOや心霊現象についての論文も多数発表しているんです。
ユングの学位請求論文は、「いわゆるオカルト現象の心理学と病理」というものでした。この論文を書く際、ユングは降霊会に参加し、霊媒師の様子を子細に観察していたそうです。
ちなみに、ユングの論文では、この霊媒師は多重人格ではないか、とされていました。
ユングと易経
ユングはオカルトの分野で扱われる現象を、心理学的に説明していたので、必ずしもオカルトに耽溺していたわけではないようです。
ユングが提唱した概念で、
共時性
シンクロニシティ(偶然の一致)
というものがあります。
ユングは予知夢についての研究をしているとき、ドイツ人の宣教師リヒャルト・ウィルヘルム翻訳の『易経』と出会いました。
共時性とシンクロニシティは、易学と出会ったことにより発表されたものです。
易経とは?
易占いは、筮竹と呼ばれる竹の棒を使う占いの方法です。八卦と呼ばれる、
天、沢、火、雷、風、水、山、地
を2つ組み合わせ、合計64卦で未来を占います。
この占術は、古代中国より国の大事を決める際に用いられていました。三国志では関羽将軍が出陣前に易占いをする記述もあります。
64卦は、人間が生きていくうちに起きることを64通りにまとめたものです。正確には、爻辞など他に見るところがたくさんあるので、もっと多いのですが、基本となるのは64卦となっています。
ちなみに、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というのは、易占いの八卦から来ています。
予知夢と共時性
ユングが研究していた予知夢は、共時性を持った夢のことです。共時性とは、複数の出来事が意味あるつながりを持っていることです。
偶然と思えるようなことでも、そこにはなんらかの意味があると考えることから、意味のある偶然と呼ばれています。
ようするに、虫の知らせです。虫の知らせはユングによれば、予知夢であるということになります。
易経は共時性を作れる
ユングは、元型と呼ばれる概念も発表しています。これは、人間が生まれつき感じることをパターン分類したものです。有名なものでは、ペルソナというものがあります。
彼は、易経に、予知夢と元型の考え方に共通点があることに気づきました。易は、人為的に共時性を作ることができ、人間の心理的な基本がすべて含まれていると考えました。
ユングは、パターン分類で知られていますが、彼の研究分野に人間の行動を64通りに分類する易経というのは、非常にマッチしていたのではないかと思われます。
易占いが当たる理由
易占いが当たりやすいのは、ユングの説によれば、人為的にシンクロニシティや共時性を起こせるからであるということです。
ようするに、易占いで出る卦は人の行動パターンを表したものであるので、その未来とシンクロニシティや共時性が起きやすいわけです。
易経自体は、儒教の一部であり、歴史ある学問です。突拍子のない結果が出ることもないので、人間の行動規範を表している、と考えることもできます。経営者のなかには、
「ああ、今は水雷屯の状態なんだな」
と自分の状況を易経のなかから探しだし、今後の行動を決める人もいるようです。