共に暮らす配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力、これを、
DV(ドメスティックバイオレンス)
といいます。社会問題化してきているので、この言葉を知らない人は少ないと思います。
一般的に、DVはストレスなどの内的要因から起こると言われています。
会社で上手くいかないストレスを抱え込んだり、友人間で感じたストレスを抱え込んだり、現代人は様々な場面でストレスを感じています。
そのはけ口として、自分の子供であったり、奥さんや夫への暴力という手段を用います。
DVを解決するには、DVが起きている環境から脱出するのが一番なのですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
DV夫と離れようにも、
「でも、あの人は私がいないとダメだし・・・」
というように、なかなか離れることができません。このような状態になってしまうのは、なぜなのでしょうか?
理由として、共依存、DVサイクルが考えられます。
目次
依存の種類
依存には、大きく分けて3つの種類があります。
物的依存・・・物質を摂取することに依存する(酒・タバコなど)
プロセス依存・・・行為に依存する(ギャンブル依存・買い物依存など)
人間関係依存・・・人間関係に依存する(恋愛依存・共依存など)
DV夫となかなか別れられないのは、3番目の人間関係の依存のなかの「共依存」が起きている可能性があります。
なぜ、暴力を振るわれても好きになるのか
もらったお金をギャンブルにつぎ込んだり、イヤなことがあるとすぐに暴力を振るうDV夫がいます。
周囲の人は暴力を振るわれているのを知っていて、実際に「別れろ」とアドバイスもしてくれます。しかし、共依存の関係になると別れるのが難しくなります。
「どんなに暴力を振るわれたって、あの人は私を愛してくれる!」
みたいな感じになって、絶対に別れようとしません。
共依存の人は、相手との関係性を維持することで生きがいを感じている傾向があるようです。責任感が強いといいかえてもいいでしょう。
共依存の人は意思表示が苦手
共依存症の人は、周囲の空気を極端に読む傾向があります。そのため、自分がやりたいこと、したいことを表現するのが苦手で、自分を出そうとするときに強い不安感を覚えます。
例え暴力を振るわれたとしても、自分は愛されているんだという認識を持つことによって不安感を抑えています。
この自己確認の過程があるので、DVというのは繰り返されます。また、DVする側も本能的にそうさせるように仕向けているわけです。
DVサイクルとは?
アメリカの心理学者レノア・ウォーカーは、DVには周期があると言っています。
緊張の蓄積期
↓↓↓
暴力爆発期
↓↓↓
解放期(ハネムーン期)
↓↓↓
緊張の蓄積期
といったように、3段階のサイクルでDVが発動します。
緊張の蓄積期で、日常の不満やストレスが蓄積し、暴力爆発期で怒りが爆発し、暴力が起こります。
そして、解放期(ハネムーン期)で、暴力をふるったことに対しての謝罪をして優しい夫になるわけです。
これは、アメとムチに似ています。暴力を振るった(ムチ)に対して、報酬である謝罪と優しさ(アメ)が差し出されます。
これによって優しさを本物と思い込み、すべてのことを許してしまいます。
サイクルは短くなる
このDVサイクルの周期は、家庭によって差があります。
ただ一つ確実なのは、一度始まってしまったサイクルは時間が経つにつれて短くなっていくということです。
どんどん暴力が過激になってくるわけです。ニュースで時折、DVが原因で殺害される子供や父母が出てくるのは、サイクルが短くなり、暴力がエスカレートしていった結果であるといえます。
DVにあっている人は、なかなかそのサイクルから抜け出せません。周りから言われても、なかなか踏み出せない人が多いので、周囲の人が気に掛けてあげる必要があります。