性善説と性悪説
この言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
この性善説性悪説は、もともと中国における儒家の思想から来ています。
性善説は孟子が唱えた説です。人間の本性は元々善であり、その後のふるまいによって悪に転じるというものです。
これに対して、性悪説は人間の本性はもともと悪であり、後天的な努力によって善を知るというものです。性悪説は孟子の性善説に反対して、荀子が唱えました。
これに似た経営学の考え方があります。それがアメリカの経営学者・心理学者のダグラス・マクレガーの提唱したX理論とY理論です。
目次
もともと仕事が嫌いなのか
X理論というのは、もともと人間は仕事が嫌いだと考える理論のことです。上司の命令と統率で仕事をする人のことをいいます。
反対にY理論は、条件次第で自発的に仕事をしていく人のことをいいます。
これを性善説と性悪説に当てはめると以下のようになります。
X理論・・・性悪説
人間は本来怠け者。
管理しないと仕事をしない。ゆえに、上司が命令を下すしかない。
年功序列が成長を阻害するという記事を以前に書きました。
このX理論は、給与態勢に年功序列を用いている企業に多い気がします。給料が一定なので、どれだけ仕事をしてもしなくても変わらない。
社員がやる気をなくさないように、常に監視する。分かりやすく言うと、労働者を信じていないのがX理論です。
Y理論・・・性善説
人間は本来、進んで働きたがる。
仕事を通して認められたいという承認欲求があり、自発的に行動する。
Y理論は、主にベンチャー企業で用いられている理論です。
労働者の自発性を重視した管理体制で、給料についても成果の分だけ上昇する公平分配性を用いているイメージがあります。
労働者を信じているのが、Y理論ということになります。個々人が自発的に行動できるようにして、結果として企業が発展していきます。
中間Z理論
X理論が旧時代的経営法、Y理論が近代の経営法と考えていいでしょう。
実は、その中間となる経営法もあります。それがZ理論です。これはアメリカの心理学者ウィリアム・オオウチの提唱した理論です。
人間尊重、平等主義、相互主義を基調としたものです。ひょっとしたら、Z理論の方が日本の会社に多いのかもしれません。
Z理論は、X理論とY理論のちょうど中間に位置します。
飴と鞭で指導するX理論でもなく、自主性を尊重するY理論でもない、両者の説が個人の意思を元に考えられているのに比べ、Z理論は団体、集団に重きを置いています。
どっちつかず、といえば聞こえは悪いですが、会社の安定性を重視した考え方です。
自主性を重視する会社が伸びる
多くのベンチャー企業は社員の自主性を重んじる、Y理論で経営しています。
それは、個人主義の方が団体主義よりも成果がでやすいからです。
日本に限って言えば、まだまだ団体主義の年功序列が横行しているような気がしますが、将来的には多くの会社が自主性を重んじる会社になっていくでしょう。
オフィスがない会社、というのもあるようなので全面的に信頼していると、そこまでできるようです。