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同調実験
アメリカの心理学者ソロモン・アッシュは、サクラを用いた同調実験を行いました。実験内容はこうです。
7人の学生に1枚のカードを見せます。カードに描かれている線と、同じ長さの線が描いてあるカードを3枚のカードのなかから選んでもらいます。
1人で行ったときは、正解率は100パーセントでした。しかし、7人のなかに6人のサクラを仕込んで、6人にわざと間違えた解答をさせた場合、正解率は68パーセントまで下がりました。
この実験で、人は大勢の意見に左右されやすいということが分かります。
同調圧力とは
同調圧力とは、上記の同調実験でも分かるとおりに、数の力によって、多数派の意見や行動が肯定されやすい状況になることをいいます。
個が集まることによって、集団となり、力を増していくのは民主主義しかり、会社の権力争いしかり、至る所で起こっています。
同調圧力を上手く利用すると、組織の団結力を高めることができます。反面、団結力が強すぎるために、会社の悪事を隠蔽してしまったり、パワハラを黙認したりと、さまざまな同調圧力による弊害も考えられます。
同調圧力から逃れる方法
組織のなかにいる以上、ある程度の調和は取らなければいけません。
理想は「必要なところだけ同調して、不要なところは同調しない」です。
どこに同調するかは、個々の問題になってきます。ここでは、同調したくないときに同調圧力から、どうやって逃げれば良いかをいくつか紹介していきます。
例えば、会社の部の社員全員が参加する親睦会があったとします。
親睦会はこれまでに何度か行っているのですが、結局普段話す人としか話さないし、会に参加することで成績が上がるわけでもありません。
会費も1万円と少し割高な感じがあります。しかし、みんなが参加するので仕方なく参加している状態です。
同調圧力がかかって、断ろうにも断りにくく結局いつも嫌々、参加している状態です。では、この会への参加を決める前に、以下のことを考えてみて下さい。
・時間損失を意識する
・対比を意識する
・自分の未来を意識する
時間損失を意識する
この会に参加すると、自分はなにを失うのか考えます。
まず、時間を失うことになります。飲み会なので、最低でも2時間は失われると思った方がいいでしょう。二次会を含めると、もっと行きます。
その2時間で自分はなにをできるのか、考えます。趣味が読書だとすると2時間あれば、薄い文庫本1冊ぐらいは読めるかもしれません。映画好きであれば、映画を丸々1本観ることが出来ます。
対比を意識する
会に参加したことによって、読書をする機会や映画を観る機会を失います。
そこで対比します。
読書をするのと、飲み会に参加するのではどちらが楽しいか
もし、比べた結果、飲み会に参加する方が楽しいと思えたのなら、飲み会に参加するのもアリだと思います。
ですが、対比の他にもう一つ意識した方がいいことがあります。
自分の未来を意識する
自分の将来のビジョンと照らし合わせて、その親睦会に参加することにメリットがあるかを考えます。
例えば、お笑い芸人になることを、虎視眈々と狙っているサラリーマンだとします。日々ネタを考えるために使っている貴重な2時間を、棒に振ることになりますし、1万円というネタの小道具を買う費用までも失われることになります。
未来をベースに考えて、この親睦会は自分に必要なものか考えることが重要です。
そういう風に差し引いて考えていくと、親睦会というものが「お金を払って時間も失う」マイナス要素の塊になります。(もちろん、極端な例です)
最後に
先にも説明した通り、同調圧力はプラスに働くこともあります。
当然、すべてがすべて機会損失ベースで考えていく必要はありません。仕事を断るときも、機会損失をベースに考えすぎると、自己中心的な人物に見られる危険性があります。
もちろん、それをよしとするのなら、すべての物事を機会損失ベースで考えて逆算して決めていくのも全然アリです。
常に同調圧力に屈している人は、紹介した3つを意識してみてください。断る勇気も湧いてくると思います。最後にユダヤ教の教えにある一説をご紹介します。
「自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるだろうか」