目次
ストレス軽減できる本
前回は読書がストレス軽減に役立つというお話をしました。
今回は個人的にオススメな本を何冊か紹介したいと思います。
人間失格/太宰治
読んだことなくても、名前ぐらいは聞いたことがあると思います。未視聴なのですが俳優の生田斗真さんが主演で映画もやっていました。
一番最初にこれを持ってきたのは、理由があります。それは僕が人生で一番多く読んでいる小説だからです。
物語を簡単に説明すると、他人の前で面白おかしく芸人みたいな振る舞いをしつつ、心のなかでは他人を俯瞰して見ている主人公大庭葉蔵の人生を描いた話です。
大庭葉蔵は同じ太宰が書いた『道化の華』にも出ていて、葉蔵の人物像は太宰自身の過去の体験を元に作られています。
人間失格においても葉蔵の人物像は、道化の華と同じように書かれていて、太宰と同じように何度か自殺未遂を繰り返します。その自殺へ至る感情の流れや、それらを取り巻く人間の行動に共感できる作品です。
待つ/太宰治
太宰の短編小説。
この本の中に収録されています。太宰がいかに人間観察をしていたか分かる本です。
ある一人の女子が駅で人を待つ話。
誰を待っているわけでもなく、「何か」を待っている。
太宰は、女性を書くのが上手いと言われていました。女性が読むと、共感出来る部分が多いのではないでしょうか。
太宰作品の中では、隠れた名作だと思います。ゆっくり読んでも時間が掛からないぐらいの文章量です。
コンビニ人間/村田沙耶香
最近の純文学も捨てたもんじゃない!
普段は古典しか読まないという人にこそ、読んでもらいたいです。
この作品は第155回芥川賞受賞作です。
主人公はコンビバイト歴18年の女性。幼い頃から人の気持ちが分からなく、どこか世界に孤立感を感じていた。そんな彼女はコンビニ店員でいるときだけ、世界と関わっているような感覚になれる。
コンビニ店員としての彼女のフィルターを通して見る世界は、よく観察できていてかなりのリアリティを感じました。
この本は初め電子書籍版で読んで、後に文庫が発売されるとそれも購入しました。文章も非常に読みやすいです。同じ作者の『マウス』という作品もオススメ。
十角館の殺人/綾辻行人
最後に完全なる趣味本の紹介です(笑)
タイトルから想像付くと思いますが、純文学作品ではありません。これはジャンルとしては、新本格ミステリに分類される作品です。
物語の骨組みはアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』が使われています。絶海の孤島で、次々に人が殺されていくという話です。
純文学作品ではないので共感能力を鍛えるような、そんな読み方はできませんが結末を知ったとき、おそらく絶句するでしょう。
あの一文を読んだ瞬間、全身に鳥肌が立ったのを、今でも覚えています。僕自身、未だにこの作品を超えるミステリに出会ったことがありません。
どうかネットで種だけ知ろうとしないでください。アマゾンレビューも見てはいけません。
信じて購入ボタンをクリックしてください。絶対に後悔しません。
少しでもヒントに繋がる情報を得ると、人生で一番の驚きが薄れてしまいます。
最後に
結局は自分が気に入った本を読むのが一番です。
でも、ある程度の基準が欲しいという方は、こういうのはどうでしょう。
現代文の教科書に載っているような純文学作家の本を読む
教科書なので、当然、高校生に分かるような文体の作家しか載っていません。分量も短く、取っつきやすいので、読書の習慣がない人はそこから入っていくといいでしょう。
ストレス軽減のための読書が、ストレスを貯める結果になっては意味がないですから。教科書はアマゾンに売っています。