マジック・ジャグリングを例に取っていますが、これはスポーツ全般にも使える上達方法です。
難しいと思って敬遠しがちなことでも、ちょっとした意識付けだけで今よりも上達のスピードが早くなるかもしれません。
2つの記憶を理解することによって、今よりも高みへ!
目次
物事を覚える認知記憶
記憶は大きく分けると2つあります。
まず、皆さんが記憶力と聞いて思いつくのは認知記憶だと思います。これはテストの答えを記憶したり、台本を記憶したりするなど物事を覚える記憶方法のことです。
視覚や聴覚で情報を認知すると、一瞬だけ記憶として蓄積されます。これを感覚記憶といいます。ここから記憶の段階が進むと、短期記憶にシフトします。
短期記憶は1分程度で消滅し、生き残った記憶は中期記憶になります。中期記憶の保存期間はだいたい1時間から1か月ほどです。
さらに、この中期記憶からいるものといらないものを分別します。そして最後に残るのが長期記憶です。
マジックには認知記憶が不可欠
マジックをするにおいて、長期記憶に入っていない手品の演技の質はかなり低いものであるといえます。
種を見破られるリスクもかなり高いです。
よく、宴会芸で覚えたての手品を披露する中年男性がいます。マジックのトリック自体は完璧なのですが、演技をする人がうろ覚えのままやると、思い出しながらやることになるので必然的に演技の間が悪くなります。
すると、見ている方は他のことに気を取られてしまいます。
ミスディレクションはマジックにおいて重要なファクターです。ミスディレクションとは、演技中にマジシャンが意図的に観客の注意を逸らすことです。
長期記憶に入っていない手品を演じると、観客に見て欲しくないところを見られる「逆ミスディレクション」が起こりやすくなります。
いつも中途半端にマジックを覚えて、他人に披露している人は相手が気を使って種をバラさないで居てくれている可能性を考慮に入れる必要があります。
マジック・ジャグリングは運動記憶で上達する
結論を先に言うと、反復練習です。マジック・ジャグリング・スポーツ全般を上達するのに近道はありません。タイトル詐欺かも(笑)
記憶は、物事を覚える認知記憶と動作を記憶する運動記憶があります。
「どうすれば、○○が上手くなりますか?」
というような質問をマジシャンにしたり、ジャグラーにしている場面をたまに見ます。マジシャンとジャグラーは、一応コツのようなものを教えるのですが、こう言う人も多いです。
「慣れです」
僕はマジックの新しい技法を覚えたとき、それを実戦投入するまで最短でも一ヶ月ほど練習します。
運動記憶は、大脳皮質から神経回路を伝わって小脳皮質へ電気信号が送られることで、動作が筋肉に伝達されます。
当然、マジックを覚えたてのころは、まったく手が動きません。上手くできず多くの失敗を重ねます。運動記憶はこの失敗を記憶します。
小脳に伝わる間違った運動命令を、回数を重ねるごとに修正していきます。
この脳内の修正の動きを、フィードバックといいます。
マジックは種だけでは成立しない
ジャグリングに関しては、運動記憶のフィードバックだけでも上達していくかもしれません。ただし、自分の演技のルーティーンを記憶するときには認知記憶も必要不可欠であるといえます。
マジックは、種を知っているからといって不思議を起こせるものではありません。
認知記憶と運動記憶両方に記憶させてから行うことで、スムーズな演技ができますし、ちょうどいい間の取り方の演技ができるようになります。
マジックの失敗は、不思議を破壊することになります。
例え、覚えた技法が出来るようになってもさらに1ヶ月ぐらいは追い込み練習する必要があります。
僕も、ある技法を5年ほど練習しているのですが、人に見せるレベルに達していないため未だ演じていないものもあります。
反復練習に耐える方法
マジックにしろ、ジャグリングにしろ同じことを何回も練習していると飽きてきます。
演技の内容を考えることになったら、そんなことはなくなるのですが、技を淡々と練習しているときは放り出したくなるときがあります。
最後に、僕が普段実践している反復練習に耐える方法をご紹介します。
これは昔、あるプロマジシャンに教えていただいた方法です。そのマジシャンはあるマジックの技法に置いて、世界的に有名になりました。やり方はシンプル。
テレビを見ながら練習する
これだけです。目線はテレビに行き、手元の意識は練習している技に集中します。実際やっていると、これがまったく苦にならないんです。
個人的には、認知記憶と運動記憶を擬似的に切り離しているから、飽きないなのではないかと思っています。
テレビの情報を認知記憶で処理して、手元は運動記憶でという感じで、手元に意識が行き過ぎないから飽きないのではないかと思います。
単純だが効果絶大! 是非お試しあれ。