僕は今まで、読書効率化のために様々な読書術を試してきました。前回の記事では、その読書術を紹介しました。それが、
超併読読書術
です。僕はこの読書術を11年ほど続けています。
この読書法を基本として考えると、効果のある読書術にはある共通点があることに気づきました。
速読の大家として知られる佐藤優さん、圧倒的知識量でテレビの解説をする池上彰さん、心理学の分野で多くの情報量を習得するメンタリストDaigoさん、認知科学の現場で活躍される苫米地英人さん。
彼らの読書法の考え方には、超併読読書術に通ずるある共通点がありました。
目次
超併読読書術とは?
まず、簡単に超併読読書術について書いていきます。詳しいことは前回の記事を読んでいただければ幸いです。
超併読読書術は、場所場所によって読む本を変えていく読書術のことです。
リビングで読む本、通勤で読む本、トイレで読む本といった具合に次々と読む本を変えていきます。
こうすることによって、本に飽きにくくなり、さらに記憶に定着しやすくなります。
詳しくは、前回の記事、および『本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術』を参照してください。
読書術の共通点
僕は今まで、さまざまな読書術の本を読んできました。流し読みしたものも含めれば、数十冊は読んできたと思います。
読んでいくうちに、有用性のある読書術にはある共通点があることに気づきました。共通点は、超併読読書術にも当て嵌まっています。
超併読読書術が合わない人でも、これから紹介する共通点を意識するだけで、記憶に残りやすくアイデアの生まれやすい読書の効果を得ることができると思います。
1、知らない分野の本はじっくり読む
速読、速読と世の中速読を推奨していますが、正しい速読法は紹介されていません。
速読の大家、佐藤優さんはまったく知らない分野の本は1ヶ月以上かけて、じっくり読むそうです。
そもそも、知らないジャンルの本をいきなり読んで内容を理解しようというのが傲慢な考え方なワケです。
いわゆる1ページ1ページを写真を撮るように見ていくフォトリーディングと呼ばれている読書法は、科学的に根拠はありません。
認知科学者の苫米地英人さんも、速読するためには下地作りが重要であると言っています。まったく未知の分野での速読は通用しません。
例えば、心理学の知識が全くない人が社会心理学の名著『影響力の武器』を速読しようとしても、無理であるのと同じです。
本の内容を理解するのには、日本語の知識が必要なのと同じで、知らない分野には知らない分野の基礎知識が必要なわけです。
2、読む本と読まない本の選別
メンタリストDaigoさんは、目次読みを推奨しています。
これは本の目次を読んで、知っている内容の本であったら次の本に行くという読み方です。
また、目次を読んで書いてある内容を予測して、読んでいく予測読書というものもあります。
クイズ形式で本を読むことによって、読書の目的が明確になり、記憶に残りやすくなるわけです。
超併読読書術を生み出した成毛眞さんも、まずは本をざっと読んで、読む本と読まない本を分けています。
というより、この選別作業は、ほとんどの読書家が実践している作業でしょう。
買った本だから、読まないともったいない
という発想の人は、読書家ではあまりいないのではないかと思います。
僕も、食費を削って本を買ったりもします。ラーメン1杯我慢すると、文庫本一冊買えるわけですから。
3、知っているところは飛ばし読み
正しい速読とは、知っている部分を流し読み、飛ばし読みするような読み方です。
このような本の読み方をM・J・アドラー、C・V・ドーレン著『本を読む本』では、点検読書と呼んでいます。
その分野の基礎と呼ばれている本を読み込んでいくと、あるところから、見出しを見ただけで書いてある内容を予想できるようになります。
このように、本を点検していき、自分の知らない未知の情報が書かれている箇所だけ、読んでいきます。
4、速読はしない
上記で紹介した読み方は、小説では使えません。そもそも、小説を速読している人は読書家のなかにはいません。
小説を読んだ冊数で、マウントを取るような人は、おそらく中身を理解していない人です。
いわゆる世間で速読と言われている、フォトリーディングのようなものはやっても意味がありません。
また、流し読みをしていいタイミング、斜め読みをしていいタイミングというのもあります。すべてを斜め読みで読んでいるような、自称読書家は読書の本質を理解出来ていないといえます。
「いやあ、今月は小説30冊読んじゃったよ~」
というような人は、読書できていない人です。
読む本を選別して、読む箇所を自分で決めることができれば、速読は本来必要のないものなのかもしれせん。
読書とは無駄
芥川賞作家の田中慎也さんは川端康成の作品について、
あんなに役に立たない小説ばかり書いた作家もまたとない
と『孤独論』のなかで言っています。しかし、こうも言っています。
わたしという個人に取って『雪国』は、異なる世界を覗かせてくれる窓
小説は、すぐに役立つ情報を与えてくれるわけでもありませんし、理解するのに頭を使うのでスマホのような手軽な面白さはありません。
確かに、実利的な意味を持っていた方が読書意欲のようなものが湧くのかもしれません。
しかし、ときには読書を無駄と割り切って、単なる知的好奇心の探求のためだけにするというのもオツなものだと思います。
<参考文献>
『本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術』成毛眞著 知的生きかた文庫
『実践! 多読術 本は「組み合わせ」で読みこなせ』成毛眞著 角川oneテーマ21
『僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意』池上彰・佐藤優著 東洋経済新報社
『本を読む本』J・モーティマー・アドラー 、 V・チャールズ・ドーレン著 講談社学術文庫